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「本山博著作集」第二巻の読みどころ    宮司 本山一博

信徒の皆様から宮司(現名誉宮司)の著作集を多数申し込んでいただいております。
「本山博著作集」にご理解を示していただき、企画責任者として深く感謝しております。

 フィリピンの心霊手術

フィリピンの心霊手術とは麻酔を使わずに素手によって現代の外科手術のような治療が行われるという劇的な心霊治療の一種です。心霊手術を日本に本格的に紹介したのは宮司(現名誉宮司)が始めていらっしゃいます。それは当時大きな論争を巻き起こしました。
本書は調査行の旅行記的な第一部と科学的な考察の第二部とにより構成されています。この紀行文から事実に即して真実にいたろうという宮司(現名誉宮司)の姿勢が鮮明に見えてきます。宮司(現名誉宮司)は肯定論者も否定論者も実際に心霊手術も見ていない人が多いことを嘆かれます。真実に至るには自らが事実をありのままに見る姿勢が必要であることを繰り返し述べられます。このことはすべてのことに対する宮司(現名誉宮司)の姿勢の特徴です。
また、宮司(現名誉宮司)はフィリピンでの心霊現象、神秘的現象に触れて今まで自らの体験によって知っていた神秘的世界の構造の普遍性について確信を深められます。また、博士論文で問題にされながらもフィリピンでの見聞によってさらに肉付けされた概念もあります。そのような普遍性への確信や概念の具体化は、フィリピンという未知の土地、インドや中国の伝統とは異なる伝統の土地での見聞により得られたものでありましょう。
この紀行文的文章は宮司(現名誉宮司)のものとしては異例です。本書から見えてくる宮司(現名誉宮司)の姿は40代の男性としての等身大の姿です。例えば、以前に飛行機で恐い思いをした体験から人以上に飛行機に乗ることに不安を覚えられるのですが、そのことは「(前略)小さな飛行機を見るとまた大丈夫かなと思った。心の底では神様に生も死もお任せしてあるから、一向に動じてないつもりだが、心の表面ではいかにもガタガタと震えている自分が何となく奇妙であった」と記されています。このような率直な文章も本書の魅力になっています。
また、この率直な文章ならではの興味を引く部分があります。心霊手術のような神秘的な出来事を研究しようとするときに出鼻をくじかれるような、真理が身を隠すような出来事がしばしば起こると記され、それに関連して次のように書かれています。我々人間には(中略)知的直感、宗教的神人合一の世界の秘密は人間が知る必要はない、(中略)神がそれを秘密のベールのうちにかくしてしまわれる、我々の手が届かないように仕向けられるのかもしれない。
それにもかかわらず、私は身の内に、何とか明らかにしたというやむにやまれぬ衝動を感ずるのである。そしてひたすら辛抱強く忍耐し、研究を重ね、宗教的修行を重ねてゆく内に、何か突破口が開けてくるように思うのである。ここでは宮司(現名誉宮司)が神や神々への畏怖と同時に、さらに高いところから来る自らの使命を感じられているように思えます。

 ヨガと超心理

本書において宮司(現名誉宮司)のその後の修道論と電気生理学的研究の方向性がほぼ決定します。修道論、さらに言えば具体的な行法については身体をベースにした行法に軸足を置かれることになり、電気生理学的研究については中国の経絡理論をベースにした測定、つまりその後のAMIの発明への序奏となる研究へと舵を切られます。そして、その両方の背景になるのは宗教的行における、あるいは宗教的行を成就した者における身体と心との密接な相関関係(心身相関)なのです。
例えば、宮司(現名誉宮司)はお行において息を止めることの重要性を本書の中でもたびたび触れられます。その中で精神集中、瞑想、三昧の区別を止息の時間の長さ、呼吸のゆっくりさでつけていらっしゃいます。「ヨーガ・スートラ」では精神的な質で区別されていたこれらの三つが、呼吸の長さという肉体的な量で測られています。これは例えばキリスト教の神秘主義から見れば奇妙なことでしょう。
宮司(現名誉宮司)は自らの体験から宗教的行には生理的な変化が生じることをご存知でしたが、長年の電気生理学的な研究からそれが客観的なものであり一定の普遍性があることを突き止められました。しかも、宗教的修行の進展においては、心のあり方が身体のあり方に影響を与え、反対に身体のあり方が心のあり方に影響を与えるという双方向の相関関係にあるのです。それゆえ、宗教的行において身体技法が心の成長、宮司(現名誉宮司)の言う霊的進化に資するのです。
そのような心身相関についての実験を高い精度で行うための新たな試みが本書で初めて述べられます。宮司(現名誉宮司)は霊的な器官であるチャクラの働きが、身体面では特に自律神経とそれに対応する臓器の働きとよく対応することを今までの研究から確かめていらっしゃいましたが、従来の測定法には余り満足できなかったようです。ご自身のインドでの病気や私の母の疲労のときの状態などがヒントになって、左右それぞれに14ある各経絡の井穴の直流抵抗値、皮膚温を測定してそれを統計処理するという実験を始められます。そしてこの井穴の測定の更なる発展形がAMIなのです。