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「本山博著作集」第八巻の読みどころ   宮司 本山一博

今月は第八巻の読みどころを紹介します。

 神秘体験の種々相 神秘体験の種々相Ⅱ

1986年から1990年までの間のIARPの上級クラスにおける講義録です。神秘体験をその階梯ごとに分けて、つまりアストラルの次元、カラーナの次元、プルシャの次元、創造神・絶対者の次元それぞれの体験を詳述しています。本書では世界観、修道論、宗教論が有機的に結合して述べられています。本書の内容は幅広いのですが、以下の四つが特徴と言えます。①いっそう多重的多層的になった世界観、②多様になった修道論、③右の二つを通して見えてくる修道論の基本的な原理、④プルシャの次元の体験を軸にして既存の世界宗教を相対化し、新しい世界宗教への道筋を示すこと、です。
とくに③では、プルシャの次元においては、モノから「離れる・自由になる」=モノを「観る」=モノを「支配する」、という言わば三等式が成り立つことから、その真似をするという修道論の原理が見えてきます。モノと自分というものの関係はどうなのかと言えば、修行者の立場とすればまずはモノ=自分=身体ということになるでしょう。
一般に具体的な方法論を語ることができる宗教的行の技法は三等式のうちの「観る」力や「支配する」力を養うもののようです。しかし宮司(現名誉宮司)が主張する宗教的行の本質はむしろ「離れる・自由になる」というところにあると思われます。「観る」力や「支配」する力を養うのはあくまで自分、モノから「離れる・自由になる」ためです。プルシャの三等式の三項はモノの世界では別ものであるが関連は深い、それゆえ「観る」力、「支配する」力を養えば「離れる・自由になる」ことを助けるということが宮司(現名誉宮司)の修道論から見えてくるのではないでしょうか。
一方では「離れる・自由になる」ことを忘れた、「観る」「支配する」だけの修行は宗教的行になっていないということも本書から読み取れます。