2024年4月8日 春の大祭 宮司講話
2024年4月8日 春の大祭 幣殿での宮司講話
幸せになるために
~一人ひとりの中に神が宿ってらっしゃることを信じて~
本日は大祭のご参列、まことにご苦労様でした。私も無事に大祭の祭主をお勤めできてほっとしております。そうできましたのも、大神様のおかげ、そして皆様のご準備とご参列のおかげです。滞りなく立派に大祭のご奉仕ができました。本当にありがとうございました。この後がございますので、なるべく手短にお話をしたいと思います。
御神意は計り難いとは言え、やはり大神様は私たちを幸せにしてくださるように、お導きお助けくださっていると思います。私たちは、幸せになるために大神様におすがりして、お助けお導きをいただくとともに、やはり自分も幸せになれるように努力しないといけないと思うのです。もっとも、幸せになるためにはどうしたらいいのかというのは、一概には言えないと思います。
それでも、人が幸せになるための、共通した一つの大きな柱もあるようにも思います。それは他の人を幸せにすることだと思います。人とは、他の人を幸せにすることによって、自分もまた幸せになるものではないかと思っています。これが、自分が幸せになっていくための太い柱の一本であろうと思うわけです。
ただし、他の人を幸せにすると言いましても、幸せの形は本当に人それぞれ、具体的な幸せの形は本当に人それぞれです。百人いれば百人分の幸せの形があると思います。そして、それぞれ違う形の多様な幸せの根底にある、幸せの本質というようなものは、たぶん人の言葉では言い表しがたい、言語化しがたいものであり、人の意識では把握しがたいものであろうかと思います。幸せの本質を本当に把握なさっているのは、神様なんだろうなと思うわけです。
私たちにとっては幸せの本質はつかみがたく、また人それぞれの幸せの形も違うものですから、目の前にいるこの人を幸せにしようにも、自分が何をして差し上げればいいのか、計りがたいですよね。目の前にいる具体的な人にとっての幸せが何であるのかを見抜くのは、非常に困難だと思うのです。他者というのは自分と異なるから他者なんであって、他者にとって何が幸せであるのかを知るのは、到底不可能だとも思えるわけです。
しかし、初代宮司様は根源の神が一人ひとりの内に生きていると教えられました。また、大神様はお代様に神を探す場所は自分の心の中しかないとおっしゃったと『教祖自叙傳』に書かれています。本当に神様が僕のような小さなものの中に住んでいらっしゃるのだろうか、と僕なんかは思ってしまいます。しかし、その教えを信頼し、この人にとっての幸せは何であろうか、この人の幸せのために神様ならどうなさるだろうかと真剣に自らに問い、考え抜けば、私の内に住む神様がそれを教えてくださる、と私は信じているわけです。
私たちは人間ですから、神様そのものの視点に立って、神様そのものの意識をもって、全てを見渡すなどできません。そのような神のような人のことを、初代宮司様は「場所的個」という難しい言葉で表現されました。しかし、そのような境地にいたることは、少なくとも僕には無理だと思います。とは言うものの、私のような者でも、特定のある人を幸せにするにはどうすればいいのかという、個別具体的なことに関しては、神様の智慧が自分の中に湧いてくると初代宮司様は教えていらっしゃいます。そして、このような個別具体的なことについて神様の立場に立って神様の智慧を授けていただいた人のことを、初代宮司様はさらに難しい言葉で「場所的立場に立つ個」と表現されたんですね。ですから、場所的個と場所的立場に立つ個というのは違うんですよ。
私たちは神様そのものの視点に立って全てを見渡すことはできません。けれども、根源の神様が私たちの中に生きていらっしゃるから、個別具体的な局面において他の人に具体的にどうして差し上げていけばいいのかについて、私たちが真剣に取り組み考え、自らに厳しく問いかければ、根源の神様がその智慧を授けてくださるのです。そのように初代宮司様は私たちに教えてくださいました。
根源の神と玉光大神様との関係というのは、私には分からないですよ。しかし『十五条の御神訓』は、玉光大神様が根源の神への信仰を説かれた教えなので、私たちは本当かなと思わずに、本当なんだと信じて一人でも多くの人を幸せにしていきましょう。そして、それを積み重ねることによって自らが幸せになっていく、神様の近くに一歩ずつ近いていく、というような信仰生活を送っていただきたいと思い、大祭の講話でこのお話をいたしました。神様のことを語るには僕なんかには、畏れ多いとですけれども、初代宮司様から教えていただいたこと、お代様を通して大神様がおっしゃった御言葉を信頼して、そのように思っております。
珍しく数年ぶりに桜満開の大祭ですので、このあと御祝宴で一緒に楽しいひと時を過ごさせていただきたいと思います。ではどうもありがとうございました。
宮司 元旦祭・大祭 講話